クリヤー塗装の基礎知識
こんにちは、板橋区・練馬区の外壁塗装、屋根塗装専門の大谷建装工業です。
住宅の外壁に使用されるサイディング板には、様々なデザインが登場していきます。
基本的に着色の塗料は単色のため、せっかく気に入っていたデザインを、塗り替えで雰囲気を変えたくないというお客様も増えてきています。
今のデザイン性を損なわずに建物の保護機能を付与する事ができるのがクリヤー塗装です。
クリヤー塗装とは、透明の保護膜をかけるイメージです。
外壁の素材感や色、木目調などの意匠性を着色の塗料では完全に再現は難しくなります。
透明な塗膜で既存の意匠性を生かすことができます。
目次
クリヤー塗料の工程
一般的な外壁塗装の工程は「下塗り、中塗り、上塗り」の3工程です。
クリヤー塗装の場合、下塗りは行わず「中塗り、上塗り」の2工程が基本になります。
下塗りで使用される下塗材の役割の一つは、外壁材と塗料の密着性を高める事です。
下塗材には密着性を高めるために「エポキシ樹脂」という結び付きの強い樹脂を使用しています。
一方でエポキシ樹脂は、紫外線に当たると黄色く変色する特性があります。
クリヤー塗装に下塗材を使用しないのはこのためです。
保護膜をかけても紫外線が下塗材に届き黄変してしまいます。
従来はエポキシ樹脂を使用しない下塗材を使用していましたが、近年はクリヤー塗料自体に豊富に樹脂を組成させることで密着性を上げています。
塗料の単価は上がりますが工程が減るため総額は着色時と大きく差が出ないようになっています。
クリヤー塗装がオススメできない外壁
魅力的なクリヤー塗装ですが、施工ができる外壁の状態に限りがあります。
適切でない状態の外壁にクリヤー塗装をしてしまうと塗膜が剥がれてきたり、艶ムラが出て見た目が余計に汚く見えたりする場合があります。
クリヤー塗装を行うベストなタイミングは「劣化が発生する前」です。
透明な塗膜で既存の意匠性を生かす事ができますが、状態の悪い箇所も隠す事ができないという事にもなります。
クラックが発生している場合
クラックと呼ばれる塗膜や外壁材のひび割れが発生している場合、着色塗装ではフィラーやコーキング材などを用いてクラックを埋める補修作業を行います。
クリヤー塗装では補修後が見えてしまうためできません。
補修後に一度着色塗装をし、クリヤー塗装を行うことは可能ですが、工程が増えてコストが高くなるだけでなく補修箇所が経年で目立つようになってしまいます。
チョーキングが発生している場合
チョーキング現象とは、外壁の表面に白い粉が付着している状態の事を言います。
これは、外壁の表面の塗膜が劣化し顔料が取れてきている状態です。
色落ちが発生している状態のためクリヤー塗装を行うとムラが出てしまい見映えが悪くなります。
劣化現象はおよそ新築から10年ほどで発生し始めます。
現状のデザインをクリヤー塗装にて長期に保たせたい場合は早い段階での塗り替えを検討する事をオススメします。
また、一見綺麗に見える外壁も日の良く当たる南面の2階部分など外壁の箇所によって劣化が進んでいる場合もあります。しっかりと現地確認を行った上でクリヤー塗装の可否を判断する必要があります。
オススメのクリヤー塗料
多くのデザインサイディングボードの登場により、クリヤー塗装の需要も増えて来た事から各塗料メーカーから良質なクリヤー塗料も多く作られるようになりました。
高い耐候性だけでなく機能性も兼ね備えた付加価値製品をご紹介します。
難付着系サイディングボード対応
サイディングボードの表面に光触媒やフッ素、無機系のコーティングがされているものが2001年以降より登場しました。
これらのコーティングは汚れが付きにくく劣化しにくいため広く普及されています。
コーティングの効果が切れて塗り替えをするのは問題ありませんが、効果が切れる前に塗り替えをしたり、部分的に効果が残っている状態で塗り替えをした場合、新たに塗装すると密着不良の原因となり早期に塗膜の剥がれが発生します。
着色塗装の場合は、難付着系の下地に対応した下塗材を使用する事で塗り替えが可能です。
クリヤー塗装の場合は、下塗材が使用できないためクリヤー塗料自体が難付着系の下地に対応できる密着性が必要になります。
菊水化学工業さんの「キクスイSPパワーフッ素クリヤー」は3フッ化フッ素の高い耐久性を有しながら高密着性のクリヤー塗料です。
光触媒のコーティングがされている場合、太陽光に当たるとラジカルを発生し汚れを分解します。
分解効果は塗膜の劣化も引き起こすため、光触媒へのクリヤー塗装は従来付加でしたが「キクスイSPパワーフッ素クリヤー」は高品質の紫外線抑制剤を配合しています。
透明なクリヤー塗料でありながら、紫外線の透過を抑制してくれる効果により光触媒へ塗装をした場合でも十分な耐候性を発揮できる製品です。
しかし、抑制すると言っても完全に防ぐ事はできないため光触媒コーティングのない下地への塗装と比較すると早期に劣化する場合があります。
キクスイ SPパワーフッ素クリヤー|製品情報|菊水化学工業 (kikusui-chem.co.jp)
遮熱効果のあるクリヤー塗料
遮熱塗料は近年スタンダードに使用されていきていますが、クリヤー塗料で唯一遮熱効果があるのは菊水化学工業さんの「スーパーUVコートクリヤー」です。
色の濃い外壁は蓄熱しやすく、熱によって劣化が早まる場合があります。
「スーパーUVコートクリヤー」は現状のデザイン性を生かす事ができるだけでなく遮熱効果により劣化を抑制する事もできます。
さらに、難付着系の下地にも対応しているため幅広く使用が可能です。
また、「スーパーUVコートクリヤー」は水性塗料のためシンナー臭がありません。
艶は艶有りと艶消しの選択もできます。光沢を出して高級感を出す事も、マットな重厚感のある意匠性を求められる方どちらにも満足してもらえる塗料です。
シリコン系とフッ素系がありコストに応じてお選びいただけます。
水系スーパーUVコートクリヤーF|製品情報|菊水化学工業 (kikusui-chem.co.jp)
高耐候性無機クリヤー塗料
とにかく長く綺麗に保たせたい場合は、アステックペイントさんの「スーパーSDクリヤー無機-JY」がオススメです。
「スーパーSDクリヤー無機-JY」はガラスや鉱石などに近い無機質な成分を豊富に配合されています。
無機成分は結合力が非常に高く紫外線などの劣化要因に対して高耐候性を発揮します。
耐候性を計測するスーパーUVでの促進耐候性試験において1000時間を超える照射でも光沢保持率が80以上を上回る結果となっています。
学説は様々ありますが、期待耐用年数は22年相当になります。
まとめ
単色で塗りつぶす塗装では再現できないデザイン性をクリヤー塗装であれば可能になります。
高品質なクリヤー塗料も多く開発されてきてはいますが、施工の条件が限られてしまうため、早めの塗り替え工事をご検討ください。